XEM(ゼム)とは?

ゼムは、NEMブロックチェーンで送金、取引手数料の支払い、ハーベスティング、独自資産の発行などに利用される暗号資産です。
NEMは2015年に公開され、マイニング設備を使わずにブロック生成者を決めるProof of Importanceや、モザイク、ネームスペース、マルチシグなどの機能を備えています。
ゼムは通貨の名称ではなく単位を表すXEMの読み方であり、ブロックチェーンの名称はNEMです。
2021年にはNEMの技術を発展させたSymbolが公開されましたが、NEMとSymbolは別々のブロックチェーンとして存在し、XEMとXYMも異なる暗号資産です。
この記事では、XEMの役割、Proof of Importance、ハーベスティング、モザイク、対応ウォレット、メリット・デメリットについて解説します。
ゼムとは?

ゼムは、NEMブロックチェーンのネイティブ通貨であるXEMを指します。
NEMは「New Economy Movement」の名称で始まったブロックチェーンプロジェクトです。
2014年に「UtopianFuture」と名乗る人物が構想を公開し、その後、世界各地の開発者やコミュニティによって開発が進められました。
NEM Mainnetは2015年3月31日に公開され、約89億9999万9999 XEMがネットワーク開始時に用意されています。
ビットコインのようにブロック生成のたびに新しい通貨を発行する仕組みではありません。
NEMでブロックを生成した参加者は、ブロックへ含まれる取引手数料を報酬として受け取ります。
XEMは、通常の送金だけでなく、取引手数料、ハーベスティングへの参加、ネームスペースの登録、モザイクの作成などに使用されます。
NEMは、ブロックチェーン上で自由なプログラムを実行する汎用スマートコントラクト型のプラットフォームではありません。
その代わり、マルチシグ、独自資産、メッセージ、証明書、名称管理など、利用頻度の高い機能をブロックチェーンへあらかじめ組み込んでいます。
NEMには、ネットワーク上の取引を一社で承認したり、利用者のXEMを一方的に移動したりする中央管理者は存在しません。
世界各地で稼働するノードが取引やブロックを検証し、Proof of Importanceの条件に基づいて選ばれたアカウントがブロックを生成します。
NEM Foundationは、過去に普及活動、企業連携、教育、開発支援などを担っていました。
ただし、NEM FoundationがXEMの残高や取引履歴を自由に変更できるわけではありません。
NEMのノードソフトウェア、ウォレット、SDK、技術資料は公開されており、取引の仕組みやソースコードを外部から確認できます。
一方、公式のNEM Walletは2023年を最後にリポジトリがアーカイブされ、現在は積極的に更新されている状態ではありません。
NEM Mainnetが稼働していることと、ウォレットや周辺サービスが継続的に更新されていることは分けて考える必要があります。
XEMを利用する際は、ノードの稼働状況だけでなく、ウォレットの更新日、取引所の入出金対応、利用する端末との互換性も確認してください。
以下に、ゼム(XEM)の基本情報を一覧表でまとめました。
| 名前 | ネム(NEM) |
|---|---|
| 単位 | XEM |
| 最高発行枚数 | 8,999,999,999 XEM |
| 使用開始日 | 2015年3月31日 |
| 作成者 | UtopianFutureを発起人とするコミュニティ開発チーム |
| コンセンサスアルゴリズム | Proof of Importance |
| 主な用途 | 送金、取引手数料、ハーベスティング、モザイク・ネームスペースの作成 |
| スマートコントラクト対応 | 汎用スマートコントラクトには非対応(組み込み機能を利用) |
| チェーンの名称 | NEM NIS1 Mainnet |
| 公式サイト | NEM公式サイト |
NEMとSymbolは同じ技術的な流れを持ちますが、現在は異なるブロックチェーンです。
主な違いを以下にまとめました。
| 比較項目 | NEM | Symbol |
|---|---|---|
| ネイティブ通貨 | XEM | XYM |
| 公開時期 | 2015年3月 | 2021年3月 |
| 承認方式 | Proof of Importance | Proof of Stake Plus |
| 主な資産機能 | モザイク | モザイクと各種制限機能 |
| マルチシグ | 単階層のM-of-N方式 | 多階層マルチシグに対応 |
| 手数料 | XEM | XYM |
| アドレス | NEM専用アドレス | Symbol専用アドレス |
XEMを保有していても、現在の残高が自動的にXYMへ変換されるわけではありません。
取引所やウォレットでは、XEMとXYMを別の資産として選択する必要があります。
ゼムの特徴

NEMは、通貨の保有量だけでなく利用状況も考慮するProof of Importanceや、独自資産を発行するモザイクなどを備えています。
ここでは、XEMとNEMを理解するうえで重要な特徴を解説します。
Proof of Importanceでブロック生成者を選ぶ
NEMでは、Proof of Importance(重要度で生成者を選ぶ方式)を採用しています。
各アカウントには、XEMの既得残高やネットワーク上の取引状況などをもとに重要度スコアが設定されます。
重要度スコアが高いアカウントほど、ブロックを生成する機会を得やすくなる設計です。
単純な保有量だけで決めるのではなく、ネットワーク内での活動も考慮することで、XEMの利用を促すことを目的としています。
ただし、取引を繰り返せば必ず重要度が大きく上昇するわけではありません。
不自然な資金移動によってスコアを操作しにくいよう、複数の条件を組み合わせて計算されます。
Proof of Importanceを含め、ブロックチェーンごとに異なる承認方式の役割については、コンセンサスアルゴリズムの仕組みと主な種類を解説した記事で確認できます。
マイニングではなくハーベスティングを行う
NEMでブロックを生成し、取引手数料を受け取る仕組みはハーベスティング(ブロック生成へ参加する仕組み)と呼ばれます。
ビットコインのマイニングのように、専用機器で大量の計算を競う仕組みではありません。
ハーベスターは、ネットワークへ送信された取引をブロックへまとめ、有効なブロックとして承認されると取引手数料を受け取ります。
XEMはネットワーク開始時に供給されているため、ハーベスティングによって新しいXEMが追加発行されることはありません。
報酬額はブロックへ含まれた取引手数料によって決まるため、取引が少ない場合は報酬も少なくなります。
1万XEM以上の既得残高が必要になる
ハーベスティングへ参加するには、アカウントに1万XEM以上の既得残高(重要度計算に使える残高)が必要です。
ウォレットへ入金したXEMが、すぐにすべて既得残高へ加算されるわけではありません。
一定のブロックが進むごとに、未既得残高のおよそ10%が既得残高へ移ります。
たとえば、1万XEMを入金しただけでは、既得残高が1万XEMへ到達しないため、ハーベスティングを開始できません。
参加を検討する場合は、総残高だけでなく、ウォレットに表示される既得残高を確認する必要があります。
委任ハーベスティングを利用できる
自分のパソコンを常時起動せずにハーベスティングへ参加する方法として、委任ハーベスティング(別ノードへ生成処理を任せる方式)があります。
委任ハーベスティングでは、メインアカウントの重要度を、残高を持たない代理アカウントへ関連付けます。
リモートノードには代理アカウントの秘密鍵だけを渡すため、メインアカウントの秘密鍵やXEMを直接預ける必要はありません。
ブロック生成に成功した場合の取引手数料は、メインアカウントへ送られます。
ただし、接続したリモートノードが停止するとハーベスティングも止まるため、稼働しているノードを選ぶ必要があります。
約1分ごとに新しいブロックを生成する
NEM Mainnetでは、平均して約1分ごとに新しいブロックが生成されます。
XEMを送信すると、ハーベスターが作成するブロックへ取引が記録され、後続のブロックが追加されることで確定性が高まります。
ビットコインの平均約10分と比べると、最初の承認を短時間で得やすい設計です。
ただし、取引所への入金反映には、ブロック生成時間とは別に、取引所が指定する確認数や内部処理が関係します。
高額な取引では、一つのブロックへ含まれただけで完了と判断せず、複数の確認を待つ方法があります。
発行枚数が固定されている
XEMの最高発行枚数は、8,999,999,999 XEMです。
ネットワーク開始時に供給量が決められており、ブロック報酬として新しいXEMが継続的に発行される仕組みではありません。
通貨保有者は、将来のブロック報酬によって供給量が増える割合を計算する必要がありません。
一方、発行枚数が固定されていても、市場で売買できる数量や売却される数量は変化します。
供給上限があることは、XEMの需要や市場価格が上昇することを保証するものではありません。
モザイクで独自資産を発行できる
NEMでは、ブロックチェーン上で発行する独自資産をモザイク(NEM上で発行する独自資産)と呼びます。
発行者は、モザイクの名称、説明、発行量、小数点以下の桁数、供給量を変更できるか、第三者間で送付できるかなどを設定できます。
企業ポイント、会員権、商品券、ゲーム内資産、証明書などを表すために利用できます。
XEM自体も「nem:xem」というモザイクとして扱われますが、一般の利用者が供給量を変更することはできません。
NEM上で発行されたモザイクであっても、発行者の信用や現実の資産価値までブロックチェーンが保証するわけではありません。
XEMのようなブロックチェーンの基軸通貨と、モザイクのように既存チェーン上で発行される資産の違いは、トークンと仮想通貨の役割や仕組みを解説した記事で整理しています。
ネームスペースで資産の名称を管理できる
モザイクを発行する際は、資産の所属先を表すネームスペース(資産名を管理する独自領域)を登録します。
ネームスペースは、インターネットのドメイン名に近い役割を持ちます。
たとえば「company」というネームスペースを取得し、その中へ「point」というモザイクを作成すると、「company:point」のように識別できます。
同じモザイク名が別のネームスペースに存在しても、ネームスペースを含めた完全な名称では区別できます。
登録にはXEMによる手数料が必要であり、利用するウォレットがネームスペースの作成へ対応している必要があります。
マルチシグをブロックチェーン上で設定できる
NEMでは、一つのアカウントから資産を動かす際に、複数人の承認を必要とするマルチシグ(複数人で取引を承認する方式)を設定できます。
たとえば、3人の管理者のうち2人が承認した場合だけ送金できる、2-of-3の条件を作成できます。
企業資金、チームの共有資産、家族で管理する資産など、一人の秘密鍵だけに管理を集中させたくない場合に利用できます。
承認者の秘密鍵が流出しても、必要な承認数へ達しなければ単独で資産を移動できません。
一方、必要数の承認者が秘密鍵を失うと、正規の所有者であっても資産を動かせなくなる可能性があります。
送金へメッセージを添付できる
NEMの送金には、金額だけでなく短いメッセージを添付できます。
注文番号、請求番号、入金者を識別するID、取引の補足情報などを記録する用途があります。
取引所では、利用者を識別するための文字列をメッセージ欄へ入力するよう指定する場合があります。
メッセージには、誰でも確認できる公開形式と、送信者と受信者だけが内容を確認できる暗号化形式があります。
公開メッセージへ氏名、住所、電話番号などの個人情報を入力すると、ブロックチェーン上へ残り続けるため注意が必要です。
Apostilleでデータの存在を証明できる
NEMには、文書やファイルの情報をブロックチェーンへ記録するApostille(データの存在を証明する機能)があります。
ファイルそのものをブロックチェーンへ保存するのではなく、ファイルから計算したハッシュ値を取引へ記録します。
後から同じファイルのハッシュ値を計算し、記録された値と照合することで、内容が変更されていないか確認できます。
契約書、証明書、設計図、作品データ、取引記録などの存在時刻や改ざんの有無を確認する用途があります。
ただし、Apostilleの記録だけで、文書の内容が正しいことや法的な権利が成立することまで保証されるわけではありません。
ノードの評判をもとに通信先を選ぶ
NEMでは、ノード間の通信状況を評価するためにEigentrust++(ノードの信頼度を測る仕組み)を利用しています。
正常な情報を提供するノードと、異常な応答を繰り返すノードを区別し、信頼性の高い接続先を選びやすくします。
悪意のあるノードや不安定なノードとの通信を減らし、ネットワーク全体の安定性を高めることが目的です。
ただし、評判システムがあることだけで、すべての攻撃や障害を防げるわけではありません。
利用するウォレットが接続するノードの状態によっては、残高や取引履歴の表示が遅れる場合があります。
汎用スマートコントラクトを使用しない
NEMは、Ethereumのように任意のプログラムをブロックチェーン上で実行する設計ではありません。
モザイク、ネームスペース、マルチシグ、メッセージ、Apostilleなど、用途が明確な機能をネットワークへ組み込んでいます。
開発者は、NEMのAPIを利用して外部のアプリやサーバーから取引を作成し、ブロックチェーンへ送信します。
汎用プログラムを実行しないことで、複雑なコントラクトによる不具合を抑えやすい一方、DeFiやブロックチェーンゲームの開発自由度は限られます。
Ethereum向けのSolidityやMetaMaskを、そのままNEM Mainnetで利用することはできません。
他通貨との比較

この通貨の特徴をより深く理解するために、異なる通貨である ゼム(XEM)、ステラルーメン(XLM)、シンボル(XYM) と比較してみましょう。それぞれの将来性や価格変動の傾向、初心者への適性を5段階で評価しています。興味のある通貨があれば、各リンクから詳しい辞書ページもあわせてご覧ください。
※この比較表は、2026年時点での情報や市場状況をもとに、初心者の方にもわかりやすく評価したものです。実際の投資判断は、ご自身の目的やリスク許容度に応じて行ってください。
ゼムの利用シーン

XEMは、個人間送金や資産保有だけでなく、独自資産の発行、共同管理、文書の証明などにも利用できます。
ただし、実際に利用できる機能は、使用するウォレットや外部サービスの対応状況によって異なります。
個人での利用シーン
個人は、XEMの保有・送金、メッセージの送信、ハーベスティングなどに利用できます。
XEMを保有・送金する
XEMは、対応する取引所で購入し、自分のウォレットや別の利用者のNEMアドレスへ送信できます。
平均約1分で新しいブロックが生成されるため、最初の承認を比較的短時間で確認できます。
送金へ注文番号や補足情報を記録するメッセージを添付することも可能です。
XEMの市場価格は変動するため、送金中や保有中に円へ換算した価値が変化する可能性があります。
ハーベスティングへ参加する
既得残高が1万XEM以上ある場合は、ハーベスティングへ参加できる可能性があります。
委任ハーベスティングを利用すれば、メインアカウントの秘密鍵をリモートノードへ渡さずにブロック生成へ参加できます。
報酬は新規発行されたXEMではなく、生成したブロックへ含まれる取引手数料です。
保有量や参加期間だけで一定の報酬が保証される仕組みではなく、重要度、ブロック生成の機会、ネットワークの取引量によって結果が変わります。
企業やプロジェクトでの利用シーン
企業やプロジェクトは、独自資産、共同管理、取引情報の記録、文書証明などにNEMを利用できます。
ポイントや会員権を発行する
モザイクを利用すると、企業ポイント、商品券、会員権、チケット、ゲーム資産などを発行できます。
発行量、小数点以下の桁数、第三者間で送付できるかなどを用途に合わせて設定できます。
ネームスペースと組み合わせることで、どの企業やプロジェクトが発行した資産なのかを名称から区別しやすくなります。
現実の商品やサービスと交換できる資産を発行する場合は、発行残高、利用条件、有効期限、返金方法、会計処理も管理する必要があります。
組織資産や文書を管理する
マルチシグを利用すると、複数の担当者が承認した場合だけXEMやモザイクを移動できるように設定できます。
企業資金、共同プロジェクトの予算、顧客から預かった資産などを、一人の秘密鍵だけに依存せず管理できます。
Apostilleでは、契約書や証明書のハッシュ値を記録し、後から内容が変更されていないか確認できます。
ただし、マルチシグの承認者管理や文書の法的効力は、ブロックチェーン以外の社内規程や契約でも定める必要があります。
ゼムの管理方法と対応ウォレット

XEMは、暗号資産取引所で管理する方法と、自分で秘密鍵を管理するウォレットへ送信する方法があります。
取引所で管理すると売買や日本円への交換を行いやすい一方、秘密鍵は取引所側が管理します。
自分のウォレットへ移すとXEMを直接管理できますが、秘密鍵、ウォレットファイル、送信先、メッセージを自分で確認する必要があります。
取引所での管理と自己管理型ウォレットの違いや、秘密鍵を失わないための基本対策については、仮想通貨ウォレットの種類と安全な管理方法を解説した記事で確認できます。
XEMに対応した主なウォレット
以下は、XEMに対応している代表的なウォレットと、それぞれの特徴です。
| ウォレット名 | 種類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Coinomi | スマートフォン・デスクトップ | XEMとNEMモザイクを管理できる複数通貨対応の自己管理型ウォレット |
| Atomic Wallet | スマートフォン・デスクトップ | XEMの保有や送受信に対応する複数通貨型ウォレット |
| NEM Wallet | デスクトップ・レガシーウォレット | モザイク、ネームスペース、マルチシグ、委任ハーベスティングなどに対応する |
Coinomiは、XEMだけでなく残高を持つNEMモザイクも取得して表示できます。
Atomic Walletは複数の暗号資産を一つのアプリで管理でき、XEMの通常送受信に利用できます。
NEM Walletは、NanoWalletとも呼ばれてきたNEM専用のウォレットです。
通常送金に加えて、モザイク、ネームスペース、マルチシグ、Apostille、委任ハーベスティングなどの高度な機能を利用できます。
ただし、NEM Walletの公式リポジトリは2023年にアーカイブされています。
新たに利用する場合は、配布元、バージョン、OSとの互換性、接続先ノードを慎重に確認してください。
利用目的に応じたウォレットの利点
XEMを頻繁に売買する場合は、XEMを取り扱う暗号資産取引所で管理すると、注文や日本円への交換を行いやすくなります。
XEMの保有や通常送金が中心であれば、CoinomiやAtomic Walletなどの複数通貨対応ウォレットが選択肢になります。
モザイク、ネームスペース、マルチシグ、委任ハーベスティングなど、NEM固有の機能を利用する場合は、対応機能を持つNEM Walletが必要になる場合があります。
一方、更新が終了したウォレットを利用し続けると、OSや外部サービスの変更によって正常に動作しなくなる可能性があります。
売買用は取引所、通常送金用は更新が続くソフトウェアウォレット、NEM固有機能用はレガシー環境というように、用途別に管理先を分ける方法があります。
ウォレット利用時の注意点
XEMを自分で管理する場合は、秘密鍵だけでなく、XEMとXYMの違い、取引所指定のメッセージ、ウォレットの更新状況を確認する必要があります。
特に注意したい点は以下のとおりです。
- 送信する通貨がXEMであることを確認する
- 送信先がNEM Mainnetのアドレスであることを確認する
- 取引所が指定するメッセージや入金IDを省略しない
- 秘密鍵とウォレットファイルを第三者へ渡さない
- 初めて利用する送信先では少額で着金を確認する
NEM Mainnetのアドレスは、通常「N」から始まる文字列です。
SymbolのXYMアドレスや、別のブロックチェーンのアドレスへXEMを送信しないでください。
XEMとXYMは名称や由来が似ていても、送信先アドレスに互換性はありません。
取引所への入金では、共通の入金アドレスと、利用者を識別するメッセージが指定される場合があります。
必要なメッセージを入力しないと、ブロックチェーン上では着金していても、自分の取引所口座へ自動反映されない可能性があります。
公開形式のメッセージはブロックチェーン上で第三者から確認できるため、個人情報やパスワードを入力しないでください。
NEM Walletでは、パスワードを忘れたりウォレットファイルを失ったりすると、秘密鍵を復元できなくなる場合があります。
秘密鍵、ウォレットファイル、パスワードをそれぞれ安全な場所へ保管し、復元できることを事前に確認してください。
ゼムのメリット

XEMとNEMには、発行枚数が固定されていることや、複数の実用機能がブロックチェーンへ組み込まれていることなどのメリットがあります。
主なメリットは以下のとおりです。
- 専用のマイニング設備を使わずにブロック生成へ参加できる
- XEMの最高発行枚数が固定されている
- モザイクやネームスペースを標準機能として利用できる
- マルチシグやApostilleを追加プログラムなしで利用できる
- 委任ハーベスティングでメイン秘密鍵をノードへ渡さずに参加できる
専用のマイニング設備を使わずにブロック生成へ参加できる
Proof of Importanceでは、ASICや高性能GPUを使った大規模な計算競争を行いません。
参加条件を満たすアカウントは、XEMの既得残高や重要度に基づいてハーベスティングへ参加できます。
専用機器の購入費用、冷却設備、騒音、大量の電力を必要とするマイニングより、設備面の負担を抑えられます。
ただし、1万XEM以上の既得残高が必要であり、少額保有者がすぐに参加できる仕組みではありません。
XEMの最高発行枚数が固定されている
XEMはネットワーク開始時に供給量が決められており、ブロック生成のたびに新しいXEMが発行されません。
ハーベスターへの報酬は、利用者が支払った取引手数料から配分されます。
新規発行によって保有割合が継続的に薄まる仕組みではなく、最大供給量をあらかじめ確認できます。
一方、供給量が固定されていても、利用需要や流動性が減少すれば市場価格は下落します。
モザイクやネームスペースを標準機能として利用できる
NEMでは、独自資産の発行と名称管理がブロックチェーンの標準機能として用意されています。
開発者がゼロからトークン用のスマートコントラクトを作成しなくても、モザイクの発行条件を設定できます。
ネームスペースを使うことで、発行者ごとの資産を名称から区別しやすくなります。
独自コントラクトの実装ミスを減らせる一方、設定できる機能はNEMが用意した範囲に限られます。
マルチシグやApostilleを追加プログラムなしで利用できる
NEMでは、複数人による取引承認や文書ハッシュの記録を標準機能として利用できます。
企業やチームは、独自のスマートコントラクトを開発せずに、共有資産へ承認条件を設定できます。
Apostilleを使えば、文書やデータが特定時点に存在し、その後変更されていないことを確認できます。
利用方法が定型化されているため、汎用スマートコントラクトより処理内容を把握しやすい点がメリットです。
委任ハーベスティングでメイン秘密鍵をノードへ渡さずに参加できる
委任ハーベスティングでは、残高を持たない代理アカウントを使ってブロック生成へ参加します。
リモートノードへメインアカウントの秘密鍵を送信しないため、ノード運営者がXEMを直接移動することはできません。
パソコンを常時稼働させなくても、接続先ノードが動作している間はハーベスティングを継続できます。
自己管理を維持しながら、外部ノードの稼働環境を利用できる点が特徴です。
ゼムの注意点・リスク

NEMは長期間稼働している一方、ウォレットの更新状況、汎用スマートコントラクトへの非対応、Symbolとの混同などに注意が必要です。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 公式ウォレットの開発が停止している
- 汎用スマートコントラクトを利用できない
- ハーベスティングには1万XEM以上の既得残高が必要になる
- XEMとXYMを混同しやすい
- 大手スマートコントラクトチェーンより利用サービスが限られる
公式ウォレットの開発が停止している
NEM固有の機能へ幅広く対応するNEM Walletは、公式リポジトリが2023年にアーカイブされています。
新しいOS、ブラウザ、ハードウェアウォレット、外部APIなどの変更へ対応できない可能性があります。
通常のXEM送受信には第三者ウォレットを利用できますが、モザイク作成や委任ハーベスティングなどへ対応する選択肢は限られます。
古いウォレットを使用する場合は、配布元、ファイルの真正性、対応OS、接続ノードを確認する必要があります。
汎用スマートコントラクトを利用できない
NEMでは、Ethereumのように任意のプログラムをブロックチェーン上へ配置できません。
モザイク、マルチシグ、メッセージなどの組み込み機能は利用できますが、複雑なDeFiやゲームを直接構築する自由度は限られます。
Solidity向けの開発ツール、MetaMask、Ethereum向けライブラリなども、そのままNEMへ利用できません。
複雑な処理を行う場合は、NEMのAPIと外部サーバーを組み合わせて実装する必要があります。
ハーベスティングには1万XEM以上の既得残高が必要になる
ハーベスティングへ参加するには、総残高ではなく、既得残高が1万XEM以上必要です。
少額保有者は条件を満たせず、XEMを入金してから既得残高が増えるまでにも時間がかかります。
条件を満たしても、ブロックを生成できる時期や受け取れる手数料は保証されません。
ネットワーク上の取引が少ない場合は、一度ブロックを生成しても得られる手数料が小さい可能性があります。
XEMとXYMを混同しやすい
SymbolはNEMの技術を発展させて作られたため、両者は関連するプロジェクトとして説明されることがあります。
一方、NEMとSymbolは異なるブロックチェーンであり、XEMとXYMも別々の暗号資産です。
ウォレット、送信先アドレス、取引手数料、ハーベスティング条件には互換性がありません。
取引所で入出金する際は、通貨コードがXEMとXYMのどちらになっているか確認する必要があります。
大手スマートコントラクトチェーンより利用サービスが限られる
EthereumやSolanaなどと比べると、NEM上で現在利用できるDApp、DEX、レンディング、NFT市場などは限られます。
対応ウォレットや開発ツールの更新頻度も低下しており、新しいサービスを構築する開発者が参加しにくい面があります。
モザイクやマルチシグなどの機能が残っていても、それを利用するサービスや取引市場がなければ実用範囲は広がりません。
XEMの利用状況を判断する際は、ネットワークの稼働だけでなく、実際の取引数や対応サービスも確認する必要があります。
現在の状況と今後の展望

2026年8月時点でも、NEM NIS1 MainnetとXEMは、Symbol MainnetおよびXYMとは別のネットワーク・資産として扱われています。
NEMの公式サイトは、Proof of Importance、モザイク、ネームスペース、マルチシグ、委任ハーベスティングなどを説明する技術ドキュメントへ接続します。
一方、NEM Walletの公式GitHubリポジトリは2023年4月にアーカイブされ、最後の公開版は2023年1月のバージョン2.7.0です。
そのため、現在のXEM利用では、ネットワークそのものよりも、ウォレット、ノード、ブロックエクスプローラー、取引所などの周辺環境を維持できるかが重要になっています。
CoinomiやAtomic Walletなど、XEMの通常送受信へ対応する第三者ウォレットは存在します。
ただし、NEM固有のモザイク作成、ネームスペース管理、マルチシグ設定、委任ハーベスティングまで利用できるウォレットは限られます。
2021年に公開されたSymbolは、NEM Mainnetを停止して置き換えたネットワークではありません。
Symbol公開時には、指定されたスナップショット時点のXEM保有者を対象として、オプトイン手続きを通じたXYMの配布が行われました。
しかし、配布後もXEMはNEM Mainnet上へ残り、XYMとは別々に取引されています。
現在XEMを購入・保有しても、同じ数量のXYMを自動的に受け取れる仕組みではありません。
今後NEMが継続して利用されるには、安定したノード、現在のOSへ対応するウォレット、取引所の入出金、ブロックエクスプローラーなどを維持する必要があります。
モザイクやマルチシグを利用してきた既存サービスにとっては、取引履歴や資産をそのまま維持できることがNEM Mainnetを継続する理由になります。
一方、新しいサービスでは、開発ツールやウォレットが更新されているSymbolや、EVM対応チェーンを選ぶ可能性があります。
XEMの新しい用途が増えなければ、ネットワークが稼働していても、取引手数料によるハーベスティング報酬や市場での需要は伸びにくくなります。
Proof of Importance、モザイク、委任ハーベスティングなどはNEM独自の特徴ですが、機能の存在だけでなく、それを利用する事業者やコミュニティを維持できるかが課題です。
XEMの今後を判断する際は、市場価格だけでなく、NEM Mainnetの取引数、稼働ノード、対応ウォレット、取引所の入出金状況、ハーベスティング参加者、モザイクの利用状況を確認しましょう。
購入できる取引所

おすすめの取引所
「Coincheck(コインチェック)」は、かつて日本で人気を集めたXEM(ゼム)にも継続して対応しているため、既存保有者の管理用口座としても、新規の少額投資用としても利用しやすいサービスです。
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